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トニー・ゼマイティス
(イギリス・ロンドン生まれ、本名アンタニィー・カシミア・ゼマイティス・1935〜2002年)

16歳の時から英国皇室ご用達の家具職人としての修業を積んだトニーは、ギターの演奏が大好きでした。

1955年
当時、自分のギターを入手することが難しかったトニーは、友人の所有するギターを観察し、家具職人として養われた良い木材を見抜き選ぶ能力と、木材のシーズニング法、木工加工の技術を生かして自分のアイデアを加えながら見よう見まねでナイロン弦のクラシックギターを製作しました。
こうして苦労の末に完成させたのが、トニーの製作した記念すべき第一号のギターとなったのです。

1957年
戦争により英国軍に入隊したト二―はそこでバンドを始めました。
徴兵による軍隊での生活を終えたトニーはギター製作に没頭し、それからの数年は全くの独学で独自の発想からギター作りに励み続けます。
いろいろなサウンドホールの形、弦の長さ、弦の組み合わせなど、試行錯誤を重ねながら試作のギターを作成しました。

1960年
数々のオリジナルなコンセプトが盛り込まれた手作りのアコースティック・ギターを、トニーは楽器店に置いてもらう事になります。
それは工場生産の市販の楽器とは全く違う物でしたが次々に売れていったのです。

トニーが製作したギターで最初に注目されたのは、ロングスケールで低くチューニングされた12弦ギターです。
これは4フレット下げ、Cスケールにチューニングされたもので、彼は「ストリートベース、ストラングロー」と呼んでいました。
このタイプのギターは50年代のイギリス独自のもので有名なブルース・プレーヤー「リード・ビリー」などで知られています。
当時のロンドンのコアなフォーク・ミュージシャンにトニーのギターは注目され、彼らからギターの注文も入るようになってきました。
その頃のトニーは、彼らに材料費程度しか請求せず、安く売ることによりまた次の注文ももらうことができ、自分もギターの製作技術を高められるよう考えていました。

1965年
そうした努力が実り、ようやくフルタイムのギター製作家として生計を立てられるようになりました。
初期のトニーは、主にアコースティック・ギターを製作し、一番有名なギターはエリック・クラプトンが所有していた通称「I vanthe Terrible」と呼ばれたものです。
これは最近のオークションで$253,000!という高い価格で取引されました。
トニーが最初に製作したプロトタイプのエレキ・ギターは、最終的にジョージ・ハリソンが入手し、彼のコレクションの中に含まれています。
トニーが最初に製作したメタル・フロント・ギターは、イギリスのバンド「the Groundhogs」のトニー・マカフィーのために作られました。
素晴らしい彫金が施された美しいギターですが、同時にメタルによるシールド効果により、ハムノイズをなくしたクリアなサウンドのギターとして高く評価されました。

市場にあるギターとは関係なく独自のアイデアとデザインでギター製作に取り組むトニーは、ギターのプリアンプにも着目しました。
それはプリアンプによって、よりゲインを持たすことで、弦の位置をピックアップから遠ざけてフィードバックを減らし、イントネーションの改善を計るというアイデアでした。

トニーのギターを気に入った「TheFaces」のロニー・ウッドは、3本目に製作されたメタル・フロントを購入し、ロニーと同じバンドのべーシスト、ロニー・レーンはアコースティックギター、エレキギター、ベースと実に12本以上ものギターを注文しました。
そして彼らが使用するギターは当時BBC放送の人気音楽番組「トップ・ザ・ポップス」で放送され、トニーのギターは多くの人々に知られるようになりました。

トニーは独創的なルックスで有名となったメタル・フロント以外にも、ボディートップ前面に白蝶貝を張り詰めた、美しいパールフロントのエレキギターも製作しました。

2000年
体調不良の為ギター製作を終える45年の間、トニーは世界のトップ・ミュージシャンに「いつかは自分だけの1本を!」と望まれるギターを作り続けました。
価値あるギターとなったトニー・ゼマイティスの作ったギターは、Vintage Guitar としても高く取り引きされるものとなりました。

2002年8月17日
以前からの病によりトニー・ゼマイティスは突然帰らぬ人となってしまいました。
ダニー・オブライエン
(ショットガン・メーカーとして有名なPurdyのマスター・エングレイバー)

彫金に関してトニーは、友人のダニーに、すべてのゼマイティス・ギターのヘッドストック・プレートとメタル・フロントの彫金を依頼していました。
残されたトニーの妻アンと息子トニー・ゼマイティスJr.は、ニュー・ゼマイティスの誕生こそがトニーの望んでいた事だと、全面的にニュー・ゼマイティスの誕生に協力を約束してくれました。

経験豊かなギター製作者を集め、トニーが製作したギターや、オリジナル図面、資料、スペック、材料など詳しく研究、分析することから始め、トニーと一緒に長年「美術品とも言える彫金」部分を担当してきたダニー・オブライエンがこのプロジェクトに共感し協力してくれることになり、ダニーが持つ独特の芸術性とその彫金技術によってニュー・ゼマイティスは、さらなる価値を持つことになりました。

こうして2年間におよぶひたむきな研究と努力、そして試行錯誤を経て、ニュー・ゼマイティスが誕生したのです。
ホンジュラスマホガ二ー
何十年も前に輸入されたホンジュラス産のマホガニーを使用。
寝かしもシーズニングも十分すぎるほどの時間がかけられた木材で作られた楽器は狂いがなく、安心して長い年月を使うことが出来ます。
最高級ピアノや59年のレスポールにも使われた、楽器用として最適な重く堅い最高級木材ホンジュラス産のマホガニーを贅沢に使うことにより、理想的な、はっきりとした輪郭と甘く重厚でミッドローが効いた音質を獲得しています。
セラックフレーク
セラックとは、植物の樹液や養分を吸い取る「カイガラムシ」という昆虫から分泌される成分を元にした塗料です。楽器製作には古くから用いられ、塗装の薄さから、楽器の振動を殺さない究極の塗料として有名です。
しかし天然素材であるがゆえに、非常にもろく、弱い塗料でもあります。
爪で引っかくだけで塗膜は傷つきへこみます。水分、熱にも弱いです。塗装工程も複雑で、乾燥にも非常に時間がかかります。現代では高級アコースティックギター、高級バイオリンの一部にしか用いられてはいません。
ZEMAITISの塗膜はこのセラックフレークと、ニトロセルロースラッカーを特殊製法で混ぜ合わせた塗料で形成されます。
新品なのにオールドのような芳醇な鳴り、さわり心地の秘密はこの塗料にあると言って過言ではありません。
ジュラルミン削りだしブリッジ
テールピースと同様にジュラルミンを削りだしたオリジナルブリッジです。1950年代にすでにトニーゼマイティス氏はこのシステムを完成させていました。
サドルを前後させ、オクターブチューニングをし終えたら、六角ナットを締めてサドルを固定します。これによりサドルがずれることはありません。
また、花の形をしたフラワー・ナットはデザインだけではありません。
ボディに打ち込まれた極太のブリッジを支えるボルトを緩め、フラワー・ナットを回して弦高を設定したら、フラワー・ナットの高さをキープしながらブリッジのボルトを締めることにより、ブリッジはフラワー・ナットとボルトで挟み込まれ完全にロックされます。
近年、ロック式のブリッジが台頭してきていますが、50年以上も前に既にZEMAITISはロッキングブリッジを開発、採用しておりました。
ブリッジとテールピースをぶつけると鈴のようなベルサウンドを聴くことができます。この倍音こそがZEMAITISサウンドを決定しております。
ジュラルミン削り出しテールピース
航空機やヘリコプターにも用いられる、軽くて硬いアルミ合金のジュラルミンを一つ一つ削りだして製作しています。
発売まで2年間の強度テストを経たブリッジ、テールピースのパーツの信頼度は群を抜いています。
弦の振動をロスすることなく、確実にボディ、ネックの鳴りにリピートし、信じられないほどのロング・サスティーンを醸し出します。
ZEMAITISサウンドの核となる重要なパーツです。