前回に続いて、エリック・クラプトンが愛用したアーチトップ・ギター・コレクションを紹介しよう。

[ 1948 GIBSON L-5-P/CES Conversion ]

 エリック・クラプトンは、これまでに何本かのギブソン L-5を所有した。1948年に生産された2本のナチュラル・フィニッシュのL-5 プレミアは、何度か来日公演でも使用され、記憶にとどめている人もいるだろう。
その他にも、1956年製のL-5 CESのサンバースト・モデルも所有していたが、それらは2004年に行われたクリスティーズ『クロスロード・ギター・オークション』で競売にかけられ、現在は所有していない。

 ギブソン L-5は、エレクトリック・ギターが登場する以前の1922年にデビューしたフルアコースティック・モデル。
当初16インチ・ボディを採用していたが、1935年に17インチ・ボディに変更され、その関係で39年まではXブレイシングが採用されるなど、幾度となく仕様変更を繰り返した。
最初の写真は1948年に製作されたL-5 プレミアというフルアコースティック・モデル。
50年代中期に製造されたギブソン・アルニコⅤピックアップを後から2つ、さらにコントローラーやピックアップ・セレクターを追加することで、L-5 CESスタイルのエレクトリック・バージョンにコンバージョンされている。
L-5はギブソンを代表するフラッグシップ・モデルで、L-5をベースに開発されたバードランドとよく似ているが、スケールが異なる。

スプルース・トップとメイプル・バックは厚い板材を削って美しいカーブが作られており、オプションとなるナチュラル・フィニッシュがメイプル材の杢目を美しく浮かび上がらせている。
アルバム『フロム・ザ・クレイドル』(1994年)のレコーディングや「レプタイル・ツアー」でも使用された。

[1948 GIBSON L-5 Premier]

 もう1本も同じ1948年に製作されたL-5 プレミア。
前出のギターはL-5 プレミアをL-5 CESスタイルにアレンジしたものだが、2本目はオリジナル仕様のフルアコースティック・バージョン。
ヘッドストックにはスクリプトロゴ・インレイとフラワーポット・インレイが施され、戦前フラッグシップ・モデルの証として存在感をアピールしている。
カッタウェイ仕様のプレミアは1939年から1982年まで生産されたが、その後は1951年に登場したエレクトリック・カッタウェイ・モデルのL-5 CESに引き継がれる形となった。