1968 GIBSON EDS-1275

ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン「天国への階段」)やドン・フェルダー(イーグルス 「ホテル・カリフォルニア」)のライブパフーマンスを始め、ピート・タウンゼンド(ザ・フー)、アレックス・ライフソン(ラッシュ)、ザック・ワイルド(オジー・オズボーン他)、スラッシュ(ガンズ&ローゼズ他)、ジョン・マクラフリン、マイク・ラザフォード(ジェネシス)、スティーヴ・ハウ(イエス)など、ライブでダブルネック・モデルを使用するギタリストは少なくないが、ロック・ギタリストであれば誰でも一度はこのダブルネックに憧れたことがあるだろう。
今回は、そんな個性的な12弦ダブルネックの代表的なモデル「GIBSON EDS-1275」を紹介しよう。

 ギブソンのダブルネック・ギターの歴史は思いのほか古く、レスポール・サンバーストが登場した前年にあたる、1957年のNAMMショーで発表された2本のカスタム・モデルがそのルーツとなる。

 6弦レギュラー・ネックと12弦ネックをマッチングさせたダブル12、そして6弦レギュラー・ネックと6弦オクターブ・ネック(1/2スケール)をマッチングさせたダブル・マンドリンである(発売はどちらも翌1958年から)。
しかし、その2本はフローレンタイン・ダブル・カッタウェイを採用したホロウ・ボディのエレクトリック・アコースティック・モデルだった。
当初は全てオーダーによる製作で、幾つかのネック・バリエーション(6弦ギター、12弦ギター、オクターブ・ギター、マンドリン、ベース)の中から選択して組み合わせることができた。

 写真のSGスタイルのダブルネック12弦は、1962年に登場したソリッドボディのEDS-1275で、そのマニアックな存在を世界中に知らしめ、憧れのギターへと高めたギタリストがジミー・ペイジだった。

 写真は、ジミーのEDS-1275と同じ1968年に生産された個体だが、この年にこのオリジナル・モデルは生産が終了している。
写真の個体はジミー・ペイジのギターと同様に、テイルピースの取り付け位置を下げた特別仕様になっている。
これはカスタム・オーダーであるジミーのギターを意識して改造したものではなく、オリジナルの仕様として製作されているようだ。

 写真で分かるように、ボディは大胆なコンター加工を施したSGデザインで、ボディを縦にカットして2本繋ぎ合わせたような外観が特徴となる。 
こうすることで、16インチ・ワイドの特大ボディの軽量化を図っている。

 ジミー・ペイジのギターを含め、本来はボディ左側にはピックガードが見られないが、写真の個体は左側にもピックガードがあり、さらにセンターの下がポインテッド・デザインになっているレアバージョン。

 ジミー・ペイジは、ライブで「天国への階段」を演奏する際にお約束のようにこのEDS-1275を愛用し、印象的なフレーズを演奏する。
しかし、これはライブにおけるパフォーマンスの一環で、彼がレコーディングで使用した12弦ギターはフェンダー・エレクトリック Ⅻだった。

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