1954 GRETSCH Model #6120 / Chet Atkins Hollow Body

グレッチ #6120は、ブライアン・セッツアーのトレードマークとしてもよく知られ、ロカビリーやカントリー、ロックンロールなどの定番モデルとして多くのギタリスト達に愛用されている。
しかし本来は、そのモデル名から分かるように、モダン・カントリー・ギターの名手として知られるチェット・アトキンス のシグネチャー・モデルとして1954年に誕生した。


写真はそのチェット自身が所有していた個体で、しかも1954年の発売に向けて製作された#6120のプロトタイプである。
基本的には市販モデルと大きな違いは見られないが、このプロトタイプが製作された段階ではまだモデル名が決まっていなかったようで、Fホールから見えるボディ内部のラベルには「STREAM LINER ☆ SPECIAL」と記されている。

 杢目の見えるメイプル・ボディはアンバーレッドにフィニッシュされ、1956年まで採用された大きなGブランドのスタンプがグレッチらしいキャラクターを演出。
フィンガーボードのブロックインレイには、ウェスタンモチーフと呼ばれるロングホーンやサボテンなどユーモラスなエングレイブが施され、個性的なアイコンとなっている。

 シングルコイルのディアルモンド社製アジャスタブル・ピックアップは、グレッチらしい明るくクリーンなサウンドを出力するが、ポールピースの下にある小さなネジを回すことでポールピースが上・下する仕組みになっている。
メリタ・シンクロソニックと呼ばれるブリッジは、各弦のイントネーション調整が簡単に行えるのが特徴。
Gテイルピースはカウボーイベルト・バックルとの組み合わせで、ウェスタン・スタイルを強調したグレッチならではの仕様と言える。

 ギターの撮影は生前にチェットの自宅で行われ、ギターの背景に彼が受賞したトロフィーなどが置かれている。

Special Thanks :「Player」