1970’s VELENO ORIGINAL 

T.レックスのマーク・ボランやグランド・ファンク・レイルロードのマーク・ファーナーなどが使用したことで知られるオール・アルミニウム製のヴェレノ・ギターは、フロリダ州のジョン・M・ヴェレノによって製作された。

 1960年代中期から、趣味の延長としてアルミニウム素材を使用したエレクトリック・ギターを個人で製作するようになったヴェレノは、70年代初頭に写真のモデルを完成させ、以来ギター製作家としての活動をスタートさせた。
ヴェレノが製作するギターは、ボディからネック/ ヘッドの全てにアルミニウム素材を使用し、大胆で斬新な外観と個性的なサウンドを持ったギターとして注目を浴びた。
またマーク・ボランなど有名ギタリストの使用もあって、その名は世界的に知られるようになった。
しかし会社組織による量産を行うことは無く、注目された以降も全て一人で製作を行っていた。
そのため製作されたギターは少なく、1976年に活動を終了するまでの間に175本の製品が出荷されたに過ぎない。

 2ピースの厚いアルミニウム板を表と裏から削り出し、それを今川焼のように合わせたホロウ構造を採用。
写真のゴールド・メッキ・カラーの他に、クロム・メッキ、スーパー・フィニッシュ(ブラック)、アノダイズド(ゴールド、レッド、ブルーの3色)などいくつかのカラー・バリエーションがあったが、写真等で見かける製品はクロム・メッキを施したミラーのようなモデルが大半である。
アルマグ35アルミニウムの鋳造による1ピースネックには、ブランド名の頭文字である「V」をモチーフにしたV型ヘッドストックが採用されている。
日本ではウルトラマンに登場する「バルタン星人」を連想させることから、そのニックネームが付いている。
極初期の製品には、ペンギンが横を向いた姿をモチーフにしたペンギンヘッドの製品も存在したようで、そのモデルを1970年代にエリック・クラプトンが所有し、1980年の「ロンドン・ロック・オークション」に出品した時に日本人が落札した。

 写真の製品は、ピックアップにギルドがCTコイル・ワインディング・カンパニーで製作したHB-1というハムバッカーを2つ搭載しているが、ギブソンやディマジオのハムバッカーを搭載したモデルも存在する。

 日本では野村義男が1975年製のヴェレノを所有しているが、元々生産数が少ないため、現在は入手が極めて難しい幻のギターのひとつとなっている。

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