1962 FENDER Jaguar

1960年代は、アメリカ西海岸を中心にサーフ・ミュージックが一世を風靡し、巷にはエレクトリック・ギターの軽快なサウンドが溢れ、ギター・ミュージックは若者達を虜にした。
そんなサーフ・ミュージック・シーンで広く使用されたギターが、1958年に登場したフェンダー・ジャズマスターと、1962年に登場したフェンダーのフラッグシップ・モデル、ジャガーだった(当時のジャガーはテレキャスターの1.8倍に価格設定されていた)。

 ジャガーはジャズマスターを踏襲したモデルであったが、最上位モデルらしく独自なアイディアや新開発のピックアップ、フェンダー・ミュートと名付けられた新たな機能が盛り込まれていた。
ジャズマスターはジャズ系のギタリストを意識したややメローなサウンドだったが、ジャガーにはよりシャープなサウンドに焦点を当てた専用ピックアップが搭載された。

 競合メーカーであるギブソン・ギターを意識し、それまでのフェンダー・スタンダードよりも短い24インチ・スケールを採用し、22フレット仕様を初めて採用したモデルでもある。

 写真はデビュー年に生産された、オリジナルの1962年製「FENDER Jaguar」のオリンピックホワイト。
本来カスタムカラーはユーザーからのオーダーによって製作されるが、写真の製品はネックデイトによると6月のサマートレードショーよりも早い5月に生産されており、オーダーメイドというよりもカスタムカラーをアピールする目的で予め生産された製品と思われる。

 ジャズマスターで初めて採用されたオフセット・ウェスト・ボディは、ヘッドをやや持ち上げてギターを構えた時にギターのボディと演奏者の身体とのポジションが良好になるように考案された非対称のデザインで、60年に登場したジャズ・ベースに続いて、ジャガーにも採用された。

 茶色いバウィン社製のモールドケースは1963年から発売されたと言われ、写真のギターのマッチング・ケースである可能性は低いが、フェンダーの場合ケースと本体とが1年ほどズレてマッチングしていることはそれほど珍しくない。

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