ヴィンテージ・ギター・オリジナル・シリーズその62 – 御茶ノ水楽器センターコラブロ！

1956 GIBSON Les Paul Custom

ギブソンは、1952年に自社初のエレクトリック・ソリッド・ボディ・ギターの第一号となるレスポール・モデルを発売し、市場の手応えを感じ取った。
それは、世界初のエレクトリック・ソリッド・ボディ・ギターであるフェンダー・ブロードキャスターの登場から、遅れること約２年の歳月が流れていた。
しかし、レスポール・モデルはグラマラスなアーチトップ・ボディ、伝統的なセットネック・ジョイント、バウンドボディやネックなど、当時のフェンダーでは生産できなかった高級感のあるオリジナル・ギターとして評価され、ギブソンはエレクトリック・ギター・シーンに大きな期待を寄せた。
そして1954年、レスポール・モデルのコンセプトをさらに充実させた高級モデル、「Les Paul Custom」を発売した。
今回紹介するギターは、1956年に生産されたギブソン・レスポール・カスタムである。

　タキシードを彷彿とさせるオールブラック・ボディにゴールド・パーツ、良質なエボニー・フィンガーボードには大きな白蝶貝のブロック・ポジション・インレイを組み合わせた豪華な外観は、レスポール・モデルを更に上回る高級感を演出していた。

　ブラックビューティと呼ばれたエボニー・フィニッシュのシックな外観、オール・マホガニー・ボディから生まれるウォームなサウンド、正確なイントネーションを約束するフルアジャスタブル・チューンOマチック・ブリッジがギブソンで最初に搭載されたのもL.P.カスタムだった。
ジャズ・ギタリストを意識したそれらの仕様は、レスポール・モデルとも異なるカスタムならではのキャラクターとしてギタリストに認知されていった。

　レスポール・モデルがメイプルトップ / マホガニー・バック・ボディであるのに対して、レスポール・カスタムには１ピース・マホガニー・ボディが採用されたのも大きな特徴で、この仕様はマイルドなトーンを作り出すと共に、コストダウンにも貢献している。

　フロントにマウントされたブラックカバーのアルニコ・ピックアップは、P-90と同じサイズのシングルコイル・タイプで、ギブソンとして初めてL.P.カスタムに搭載された。
これはグレッチのダイナソニック・ピックアップ（ディアルモンド社製）を参考に製作されたもので、高出力が特徴となる。
６本のアルニコマグネットがアジャスタブル・ポールピースとして使用され、その間にあるスロット・スクリューを回転させることでポールピースを上下させる。