1958 GIBSON ES-5 Switchmaster

B.B.キングやチャック・ベリー、アルバート・コリンズ、ジミ・ヘンドリックス、ケニー・バレルなど、多くのアーティストに多大な影響を与えたエレクトリック・ブルース界の巨匠、T-ボーン・ウォーカーのトレードマークとして知られるギブソン ES-5。
今回は3つのPAFピックアップを搭載した、1958年製 ES-5 スイッチマスターのブロンド・フィニッシュを紹介しよう。

 戦前のエレクトリック・アーチトップ・シーンの最上位モデルとして、ギブソン ES-5が登場したのは1948年。
ES(エレクトリック・スパニッシュ)シリーズは、エレクトリック・アーチトップの総称として現在も名称が使用されているが、このES−5がその始まりだった。

 17インチの大型ベネチアンカッタウェイ(ラウンドカッタウェイ)・ボディは、美しいメイプルの削り出しによってトップとバックが形成されている。
当初はP-90シングルコイル・ピックアップが3つ搭載され、コントローラー・レイアウトは3ボリュームと1マスタートーン。
T-ボーン・ウォーカーが愛用したES-5は、正しくこの最初期モデルのナチュラル・フィニッシュ・バージョンである(彼のES-5は60年代後半に盗難にあってしまう)。 

 1955年、各ピックアップに対してそれぞれ独立したボリュームとトーンが与えられた6コントロールとなり、更に4ウェイ・スロッテッド・スイッチの搭載によりワンタッチで3つのピックアップを同時に出力することも可能となった。
そしてネーミングがES-5から「ES-5 Switchmaster」へと変更されたのである。

 1957年、P-90シングルコイルが当時最新式だったノイズレス・ピックアップ、ハムバッカー(PAF)へと変更された。
1960年からは、ベネチアンからポインテッド(フローレンタイン)・カッタウェイに変更され、1962年まで生産されてその役割を終えた。

 写真は1958年に生産されたES-5 スイッチマスターで、杢目の美しいボディはナチュラルブロンドにフィニッシュされている。
2ピースのメイプル・ネックは、エンド部分がポインテッド仕様の5プライバウンド・フィンガーボードをセット。
白蝶貝の大きなブロックポジション・インレイが存在感をアピールし、ゴールドのメタル・パーツが更なる高級感を演出している。

 60年代の初頭にオリジナルのES-5 スイッチマスターは姿を消したが、90年代以降になって、P-90を搭載した初期バージョンや写真のようなハムバッカー・バージョンなど、スイッチマスターのリイシュー・モデルが何度か発売され、現在も根強い人気を誇っている。

Special Thanks :「Player」/ Hyper Guitars