1962 GIBSON Les Paul Standard

ギブソン・レスポール・モデル(ゴールドトップ)が登場したのは1952年。
フェンダー・ブロードキャスター(テレキャスター)が発売されて2年目のことだった。
ブロードキャスターは量産化された世界初のエレクトリック・ソリッドボディ・ギターだったが、レスポールはギブソン初のエレクトリック・ソリッドボディ・ギターであると同時に、初のシグネチャー・モデルでもあった。

 レスポール・モデルは、デビュー以降幾度となくモデルチェンジを繰り返し、1958年にチェリーサンバースト・フィニッシュを採用すると同時に、名称がレスポール・モデルからレスポール・スタンダードに変わり、サンバースト・レスポールとして一つの完成形を迎えた。

 しかし、1961年にレスポール・スタンダードの名称はそのままに、SGシェイプへとフルモデルチェンジされ、SGタイプのレスポールが誕生した。
さらに1963年、今度は同じ仕様のまま名称がレスポール・スタンダードからSGスタンダードへと変更され、60年代の音楽シーンの中で多くのギタリストの愛器となった。

 50年代のレスポール・モデルは、マホガニー・ボディとメイプルトップを重ねた二重構造で、トップがグラマラスなアーチ形状に加工されていたため、木部加工には多くの手間と時間を要した。
またレスポールのシングルカッタウェイは、後発のストラトと比べるとハイポジションの演奏性ではやや劣っていた。
さらに、ストラトやテレキャスターより重いことも事実で、軽量化もレスポールの大きなテーマとなった。

 そこでテッド・マッカーティは、より生産性に優れ、原価が安く、モダンなデザインで、機能性が高く、軽量な新たなギターの開発に乗り出した。

 そうしてたどり着いたデザインがSGシェイプだった。
スラブボードから大胆にカットされたダブルカッタウェイ・ボディは軽量で、ネックのほとんどがボディの外側に飛び出たデザインは、ハイポジションまでのアクセスを容易にする高い機能性が備わっていた。
また、高価なメイプル材を使用しないマホガニー・ボディはコストの削減に繋がり、スラブ・ボディのエッジを斜めにカットしたベベルエッジは生産性に優れたデザインでもあった。

 今回紹介するギターは、SGシェイプが採用された1962年製の「Les Paul Standard」3本である。

 1961年に完成したSGシェイプは、50年代のレスポールとはまったく異なったデザインだったが、レスポール・スタンダードのニュー・モデルとして発売された。

 写真は、レスポール・スタンダードとして生産された最終年にあたる1962年製だが、トレモロ・ユニット / テイルピース部分の仕様が異なっている。
後ろの左側に立っている製品は、パールインレイを施したエボニー・テイルブロックがセットされたショート・バイブローラ仕様。
右側に立っているレスポールはスウィングアウェイ・プルサイドウェイ・ビブラートを搭載した仕様。
そして手前に寝ているレスポールは、ビグスビーにB-5(ショート・ビグスビー)が搭載された仕様である。

Special Thanks :「Player」