こんにちは。テンチョー・マベです。

今回はフランス製ハイエンド・ブランドのヴィジェを深くご紹介いたします♪

ヴィジェ・ブランドは、パトリス・ヴィジェによって1980年にフランスで誕生しました。

ヴィジェは、従来のエレクトリック・ギターの基本設計を大切にしながら、より現代的なアプローチによって進化し続けるギター・ブランドではないかと思います。

ファクトリーはフランスにあります。

カスタムショップといっても差し支えのないヴィジェ専用の工房で、少数精鋭のクラフトマンの手によって製作されています。

ヴィジェが持つ独創的な特徴について解説していきたいと思います。

ヴィジェの秘密①ネック

ヴィジェの大きな特徴の一つとして10/90 Neck System が挙げられます。

ヴィジェは、ギターを演奏する上で、快適だと感じる大きな要因は、プレイヤーが常に触れているネックにあると言っています。

ヴィジェは、伝統的なトラスロッドによるネック調整の仕方が最良の方式だとは考えていません。トラスロッドを仕込むために溝が掘られたネックは、ネック自体の質量が少なく、柔らかくなります。

結果、弦振動から生まれるエネルギーを吸収してしまいサスティーンを短くしていると考えています。

そこで考案されたネックが10/90 Neck System です。10/90 Neck System のネック材には、癖や捻じれなどの問題が起こらないように厳しく管理されたヨーロピアン・メイプルを採用しています。

ヨーロピアン・メイプルは、ヨーロッパの森林で伐採され、長期間自然乾燥された伝統的な木材で、美しい杢目と強度を兼ね備えています。

ヴィジェは、トラスロッドの代わりに硬質でありながら柔軟性にも富んだカーボンを採用しました。ネックの約10%の質量にあたるカーボン・バーを仕込むことで、トラスロッドを持たない完全なソリッド構造のネックを実現しました。

10/90 Neck System の最大のメリットは、温度や湿度などの影響に対して、とても優れた耐久性を誇るということです。

まさにプレイヤーが演奏するライブ・ステージは、最も温度や湿度などの環境変化が激しい場所です。

何時でも何処でも変化せず安定した10/90 Neck System は、ベストなセッティングを崩すことなく演奏できる安心感をプレイヤーにもたらしてくれます。

Flexretainer

ノンロッキング・トレモロをマウントしたモデルには、フレックス・リテイナーを搭載しています。

ノンロッキング・トレモロの弱点は、チューニングの不安定さです。その一つの要因が、スムースさに欠けるリテイナーにあります。

この問題を解決するのがフレックス・リテイナーです。

フレックス・リテイナーは、振り子時計のように前後に動き、弦との摩擦を低減する構造です。

とてもシンプルですがその効果は絶大です。




ZeroFret-S

ヴィジェの全てのモデルにはゼロ・フレットを採用しています。

ゼロ・フレットは、僅かに他のフレットよりも高くセッティングされ、開放弦でのビリつきを無くし、安定したサウンド・バランスを提供してくれます。

ギターのモデルには、より進化したZeroFret-Sが搭載されています。

このZeroFret-Sは、各弦に対応する6等分されたゼロ・フレットを持ち、すり減った場合はその箇所だけを交換すればよい設計です。

ゼロ・フレット自体も簡単に取り外すことが可能です。

さらに、ノンロッキング・トレモロをマウントしたギターのZeroFret-Sには、チューナーとナットの間で起こる余計な共振を防ぐストリング・ダンパーも合わせて装備しています。

Teflon Nut

ナットのマテリアルにはテフロンが採用されています。

テフロンはとても滑りがよく硬質な素材です。

この特性によってナットでの弦のスムースな動きを補助することでチューニングの安定に大きく貢献します。

特にトレモロを多用するギタリストにはお勧めのマテリアルです。

Phenowood Fingerboard

Arpegeベースなどに採用されているフェノウッド・フィンガーボードもヴィジェの特徴です。

ヴィジェは、このフェノウッド・フィンガーボードを1981年から使用しています。

フェノウッドは、フェノール樹脂を含浸させたセルロースで作られていて、木材と同じようにカット、サンディング、接着が可能な素材で、木材よりも非常に安定していて硬く、弦からの摩耗に対しても素晴らしい耐久性を発揮します。

タイトで素早いレスポンスに加えて、ロング・サスティーンを実現します。

また、ヴィジェのフィンガーボードは、100分の1mm単位で調整され出荷されています。

ヴィジェの秘密②ボディ

ヴィジェのボディ・デザインは、第一にプレイヤーがストレスなく演奏できるデザインを心がけています。

プレイヤーの身体の一部になるような楽器が理想です。

個性的なデザインやボディに加工されたコンターカットなど、それぞれに大きな意味があります。

重量も大切な要素で、ヴィジェのモデルは、約3kg~3.7kg の軽量な重量を目標に製作されています。

ライブでのアクションやパフォーマンスにはとても重要なことだと多くのプレイヤーに納得していただけると思います。

Wood

ボディに使用するウッド・マテリアルは、ヨーロッパの豊かな森林が育んだメイプルやアルダー、アッシュを使用しています。

自然乾燥させた木材から、さらに厳選した材のみを採用しています。

ボディは全てセンター2 ピースを採用しています。コストなどの追及のために3 ピースや4 ピースのなどの材は決して使用しません。

Finish

ヴィジェがとてもハイ・クオリティであることは、塗装を見ていただければ一目瞭然です。

ヴィジェの透き通るような薄い塗膜は、熟練のクラフトマンの技によって、丹念に時間をかけてニスを重ねた結晶です。

これはとても重要な事で、ボディの鳴りを殺さないためです。

その後、約1 か月の期間を開けてサンディング、ポリッシングの工程へ移します。

ヴィジェの塗装技術は最高水準にあると自負をしています。

■ヴィジェの秘密③ハードウェア

トレモロ・ユニットを駆使したプレイは、ギタリストの表現力を高める重要なサウンドの一部ですが、反面、チューニングの不安定さといった問題点も抱えています。

このことは昔から多くのプレイヤーを悩ませてきました。この問題点の多くの原因は、摩擦などの抵抗によってトレモロ・ユニットが元の位置まで戻らないことに起因しています。

特にトレモロの支点部分の摩擦が大きな問題でした。

ヴィジェは、支点部分にナイフエッジを使用せず、オリジナルのボールベアリングを採用しています。

このボールベアリングは、1 分間に1 万回も回転することができます。

とてもスムースで、優れた耐久性も併せ持った自慢のオリジナル構造です。

Vigier 2011 & 2017 tremolos

ボールベアリングを装備した2011&2017 ノン・ロッキング・トレモロのチューニングの安定感をより高めるパーツが、フレックス・リテイナー、テフロン・ナット、ゼロ・フレットです。

そしてもう一つのポイントが、ローラー・サドルです。

ローラーによって弦の摩擦を抑えスムースな動きを実現します。

また、このサドルは、ロックさせることが可能ですので、一旦イントネーションを合わせてしまえば演奏中に狂ってしまうなどの心配もいりません。

さらに、2011 & 2017 tremolos を装備したモデルには、ロッキング・チューナーを装備しています。

このロッキング・チューナーは、ロング・サスティーンを獲得させるためにオーバー・サイズにデザインされたヴィジェ・オリジナルです。

Vigier Floyd Rose licensed tremolos

ヴィジェ・フロイドローズ・ライセンスド・トレモロは、大胆なアーミング・プレイが可能なフロイドローズ・トレモロの性能を、ヴィジェが採用するゼロ・フレットによって、さらに安定したチューニング・ディフェンスへと昇華させています。

サドルは、フィンガーボードのアールに合わせて、正確に再アジャストさせていますので、プレイアビリティも万全です。

また、弦交換や調整に必要なレンチ・セットは、ヘッドストックの裏側にセットされています。

トレモロ・ブリッジ以外にも、ヴィジェにはモデルごとのコンセプトに合わせたオリジナル・ブリッジを採用しています。

Excalibur Surfreter にマウントされているノントレモロ・ブリッジは、4 本のネジでボディへ止められ、弦振動を逃がしません。

また、弦がボディの中を貫通するスルーボディ・ローディング構造です。

Marilyn モデルのブリッジは、テールピースとブリッジが一体となったブリッジを採用することで、個性的なボディ・デザインにフィットさせています。

G.V.シリーズにマウントされているブリッジ・システムは、T-O-Mを現代的に進化させた、ヴィジェのオリジナル・ユニットです。

ロック機能を持っていますので、優れた安定感とロング・サスティーンを特徴にしています。

Bass Bridge

弦交換が簡単に行えるクイック・リリース機能付きのブリッジを採用しています。

サドルはロックすることが可能ですので、一度、セットアップしてしまえばイントネーションを気にすることなく演奏することができます。

Security end pin strap holder

ストラップ・ピン(エンド・ピン)にもヴィジェは気をつかっています。

よく見かけるストラップ・ピンは、木ネジで直接ボディに取り付けられたものが殆どです。

ストラップを取り付け、ギターの重量を預け、ライブ・パフォーマンスをこなすのにはとても心許ない構造だと思います。

万が一ストラップ・ピンが抜ければ、大事なギターに大きなダメージを残す結果になるでしょう。

そして実際に木ネジが一番緩む場所でもあるのです。

ヴィジェは、直接、木ネジでストラップ・ピンを止めていません。

金属のアンカーをボディに深く埋め込み、アンカー・ボルトによってストラップ・ピンを取り付けています。

■ヴィジェの秘密④エレクトロニクス

ヴィジェは、エレクトロニクスにも拘っています。

ヴィジェは、ギター・メーカーとしてはいち早く、1983年にマイクロコンピュータを導入し、オリジナル・プリアンプなどの開発を進めていきました。

今では全てのベースに緻密なサウンド・メイクが行える素晴らしいアクティヴ・サーキットを搭載しています。

また、ギター用のピックアップ・マウントの方法にもヴィジェならではの特徴を持たせています。

Guitar Pickups

ギターのハムバッカーにはディマジオやセイモアダンカン社のピックアップをマウントしています。

しかし、良く見ていただければ分かると思いますが、6 弦側に1 本、1 弦側に2本の計3 本のピックアップ・マウント・スクリューを採用しています。

この小さな手間を掛けることで、ピックアップの弦との距離、角度、傾きをより緻密に調整できるようにしています。 ※ダイレクトマウント・モデルは除く。

Bass Pickups

ベースにはオリジナルのシングルコイル・ピックアップをマウントしています。

このピックアップは、搭載される18V 仕様のプリアンプに合わせて開発されたオリジナル・ピックアップです。

プリアンプから生まれる多彩なサウンド・バリエーションを、ノイズを気にすることなくタイトにパワフルに演出します。

当店はオープン当時よりヴィジェのアンテナ・ショップとして多くのお客様に親しまれております。

修理、調整などのアフター・サービスも行っておりますので、ヴィジェをご検討中の方は是非一度お問い合わせください。

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