1953 FENDER Esquire

現在フェンダー・テレキャスターの1ピックアップ・バージョンとして認知されている「エスクァイア」だが、実はテレキャスターは元々エスクァイアとして企画・開発されていたことをご存知だろうか? 
開発の段階でエスクァイアには1ピックアップ・バージョンと2ピックアップ・バージョンが用意され、最終的な段階で2ピックアップ・バージョンをブロードキャスター、1ピックアップ・バージョンをエスクァイアとして発売した。

 エスクァイアは1950年4月に世界初のソリッド・エレクトリック・ギターとして発表され、同年6月に業界誌で紹介、7月のNAMMショーでプロトタイプが展示されたが、それは現在のプロダクション・モデルとは大きく異なっていた。
ブラック・ボディにホワイト・ピックガードがセットされ、コントロールにレバー・スイッチはなく、ボディはアッシュ材ではなくパイン材が使用されていたという。
NAMMショーでの展示から市販が開始された数ヶ月の間に、ブロードキャスターの最終的な仕様とネーミングが決まり、発売に至ったのである。
その数ヶ月間に様々な仕様変更があったエスクァイア、テレキャスターだったが、発売された以降は70年以上も基本的な仕様に変更がないというのも大変興味深い。

 エスクァイアは、リアポジションに設置されたシングル・ピックアップ仕様が大きな特徴だが、そのハンデを感じさせない工夫が成されている。
ブラックガードのファットなサウンドで知られるシングルコイル・ピックアップは、テレキャスターと共有で、ポールピースにアルニコⅢマグネット、コイルは42ゲージのプレーンエナメルワイヤーを使用。
1953年からピックガードなどを止める木ネジが「−」から「+」に変更された。

 写真は1953年製のフェンダー・エスクァイア。
70年前に生産された製品とは思えない見事なコンディションを保ち、フィンガーボードの塗装は剥げているが、その他に大きなダメージなどはみ見あたらない。

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