今回は1960年に生産されたフェンダー・ストラトキャスターを紹介しよう。

 1960年代は、アメリカの音楽シーンが大きく動いた時代として知られている。
ロックンロールやポップス、さらにはブラック・ミュージックにも注目が集まり、エレクトリック・ギターはそれらの音楽シーンの中でフィーチャーされるようになってきた。
エルヴィス・プレスリーの「イッツ・ナウ・オア・ネヴァー」やザ・ベンチャーズの「ウォーク・ドント・ラン」のヒットも1960年である。

 ストラトキャスターは、1954年に誕生して以来毎年何らかのモデルチェンジが繰り返されてきた。
しかし、60年は唯一仕様変更が行われなかった年で、前年からの仕様がそのまま継続された。

 褪色しやすい赤の塗料が使用されていたことで、ボディの3トーン・サンバーストはハニー・サンバーストへと変化し、厚みのあるスラブ・フィンガーボード・ネックとのマッチングは、多くのギタリストの憧れの的となった。

 写真のストラトは極めてコンディションが良く、ボディに大きなキズやクラックなどが見られないだけではなく、長年ケースに収納されていたのか、同年代の製品の中では赤みも綺麗に残っている。

 またサンバースト部分がボディの中央部分まで吹かれたかなり個性的なフィニッシュで、同年代の製品の中でも特徴的だ。
フェンダー製品のサンバースト・フィニッシュは個体差が大きいことでも知られるが、この個体は正にその代表と言える。

 60年の末頃、デビュー以来使用されてきたヘッドストックのデカールに「Pat. Pend」の文字が追加され、セカンド・バージョンとなった。

 サンバーストの部分がかなり大きく、黄色い部分がほとんど見られない個性的な外観。

 スラブボードと呼ばれる厚みのあるローズウッド指板。
接着面がフラットになっている。

 サドルにセットされた高さ調整用のアレンスクリューは、前年から1弦と6弦が短くなっている。

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