1956 GIBSON CF-100E

近年は、一般的なフラットトップや廉価モデルにも最初からピックアップが搭載されているエレクトリック仕様のアコースティックも多く生産され、エレアは身近な存在として広く愛用されている。
今回紹介するのは、そのエレアコのルーツとなる「GIBSON CF-100E」という小型モデルであるが、このモデルが誕生したのはなんと70年以上前の1951年である(ピックアップが搭載されていない姉妹モデルCF-100は、前年の1950年から発売された)。

 ザ・ビートルズの愛用で一躍有名になったエレアコの代表モデルといえばギブソン J-160Eだが、CF-100EはJ-160Eの3年前に発売され、来るべきエレアコ時代到来の大きな布石となった。
ザ・ビートルズの人気と共に飛躍的なセールスを記録したJ-160Eに対して、CF-100Eはいまひとつセールスが振るわず、トータル1257本出荷され1950年代末に生産が完了した。
写真のギターはファクトリー・オーダー・ナンバーから、1956年に生産された製品であることが分かる。

 CF-100Eは同時期に発売されていたLG-2に近い仕様で、14-1/8ワイド、4-1/4ディプスのマホガニー・ボディを採用しているが、当時のフラットトップとしては珍しくポインテッド・カッタウェイが採用されている。
フィンガーボードエンドとサウンドホールの間にピックアップを装着するために、ホールの位置がややブリッジ寄りにレイアウトされている。

 ハカランダ・フィンガーボードにはレスポール・スタンダードと同じトラペゾイド・ポジションマークがセットされ、クラウン・ペグヘッドを採用。

 ピックアップはこのモデル専用に開発されたものではなく、P-90シングルコイルを採用している。
ピックアップ本体がサウンドボードの下につり下げられた構造で、ポールピース部分がサウンドボードを貫通している。
黒いプラスティック・プレートは単なる化粧板で、ピックアップの一部ではない。
コントロールは1ボリューム、1トーン、サイドジャックを採用。

 ホンジュラス・マホガニーの1ピースネック、14フレット・ジョイント、カタログ上では24-3/4インチ・スケールとなっているが、実際は僅かに短い。

 結果的にCF-100Fは後発のJ-160Eの陰に隠れる形となり、8年間という短期間で生産が完了した。しかし近年は、マニアックなギター・ファンにより再評価が高まっており、ヴィンテージ・リイシュー・モデルやシグネチャー・モデルも新たに発売されている。

 

Special Thanks :「Player」