1967 RICKENBACKER Model 456/12

1960年代からリッケンバッカーには多くの12弦モデルが存在し、愛用しているギタリストは少なくない。
涼しげで煌びやかなそのサウンドはリッケン特有で、高く評価しているギタリストは多い。

 そんなリッケンバッカーの12弦ギターを広く知らしめたギタリストといえば、やはりビートルズのジョージ・ハリスンだろう。
1964年に発売された彼らのアルバム『ア・ハード・デイズ・ナイト』でも印象的なサウンドを披露し、12弦ギターの魅力を世界中に知らしめた。
そんなリッケンには多くの12弦モデルがあるが、今回紹介するのはリッケン・ファンにもあまり馴染みのない、456/12というレアなソリッド・モデルである。

 リッケンバッカーが最初に12弦モデルを発売したのは1963年で、ジョージ・ハリスンの愛用で知られる360-12だった。
この製品が注目され、その後ロジャー・マッギンなどが12弦サウンドの特徴を上手く活かした音作りで好評となり、1960年代後半は多くのギタリストがリッケンの12弦ギターを手にした。

 写真は、1966年に登場した小型のソリッド・ボディ・モデルで、450の12弦バージョンとなる456/12というモデル。
リッケンバッカーの12弦ギターには、写真のモデルのように12弦仕様と6弦仕様とを瞬時に切り替えられるコンバーター付きのコンバーチブル・モデルがある。
フロント・ピックアップの直ぐ下にセットされている横長の金属パーツがそのコンバーター。
金属製の櫛の先にフックが付いており、それを各複弦に引っ掛けてボディ側に引き寄せてからロックさせることで、12弦モデルが一瞬にして6弦モデルに切り替わる。
コンバーターの扱いに慣れれば,僅か数秒でセッティングが可能となり、その逆もしかり。
リッケンの12弦モデルには、バリエーションとしてこのコンバーターが付いているモデルも数多く存在している。

 コンバーターのアイディアは実に素晴らしく、実際にステージ上での使用も十分可能な完成度であるが、あまりこれを多様しているギタリストは見たことがない。
その主な理由は、外観が恐ろしくカッコ悪いことと、多少チューニングに不安が残ること、そして左手は12本の弦を抑えているが右手は6本の弦を弾くため、その不自然な感覚に慣れる必要がある、といったところだろう。

 6弦モデルの450は1957年に発売され、その12弦バージョンの450/12は1964年に発売された。
そして写真の456/12は1967年から70年代後半まで生産されたが、あまり実売には結びついておらず、結果的にレアモデルとなった。
写真の個体は1967年に製作されたが、リッケンバッカー社から出荷されたのはなんと1980年頃。
デッドミントの期間が長かったため、極めてコンディションが良い。

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