1971 RICKENBACKER 331 “Light Show” Model

個性的なモデルを数多くリリースしてきたことでも知られるリッケンバッカーだが、今回紹介する「331 “Light Show” Model」は、何とも斬新なアイディアをそのまま形にしたかなり特殊なモデルである。

 60年代後半のフラワー・ムーブメントやサイケデリック・シーンでは、より華やかで刺激的なステージが求められた。
それはアーティストのファッションやヘアスタイルだけに止まらず、中には使用楽器にもユニークなビジュアルを求めるギタリストが登場し、ミュージシャンのキャラクター作りに一役買っていた。
エリック・クラプトンやジミ・ヘンドリックス、ジョージ・ハリスンらはギターにカラフルなペイントを施し、フェンダーからはピンクペイズリーのテレキャスターが発売された。
しかし、リッケンバッカーのライトショー・モデルはそれらを大きく凌駕し、ステージで強烈なインパクトを放った伝説のモデルである。

 331最大の特徴は、ボディ内部全体に幾つものイルミネーションが組み込まれ、それが演奏時に点滅してボディがカラフルに輝くという、なんともユニークな仕掛けを採用している点にある。

 写真は1971年に生産されたかなり初期の製品だが、モデルは1970年から75年まで生産された。
このイルミネーションを稼働させるには専用のパワーサプライが必要となる。

 331は330と同じシェイプのメイプル・ボディであるが、これまでのように裏側からくり抜いたホロウ構造ではなく、ピックアップやブリッジを取り付けるセンター部分と外周だけを残し、貫通したボディを作ってから裏蓋を取り付け、表からイルミネーションなどを組み込み、ボディ形状に会わせた大きなアクリル板のピックガートを取り付けている(331は一般的な330よりも6ミリほどボディに厚みがある)。

 この時期のリッケンバッカーは、センターにウォルナット材を挟んだメイプル主体の3ピース・ネックが基本であるが、写真のモデルは例外的に1ピース・メイプル・ネックを採用。
24-3/4インチのレギュラー・スケールを採用しているが、一般的な21フレット仕様ではなく24フレット仕様である。

 リッケンバッカーの特徴であるU字型のトラスロッドは、微妙な調整ができるように考案されたが、その構造を正しく理解せずに無理な調整を行うと指板が剥離するなどのトラブルを引き起こすことがあり、デリケートな対応が必要である。

 日本でこのライトショー・モデルを使用しているギタリストとして知られるのが元チューリップの財津和夫で、ステージで何度か使用している。
機材コレクターとしても知られるラッシュのゲディ・リーのコレクションにも331が含まれている。

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