c.1941 RICKENBACHER B-6 / 1950’s G-6

「エレクトリック・ギターのルーツは、1950年にフェンダーから発売されたブロードキャスター(テレキャスター)に始まる」とよく言われるが、これはソリッド・ボディのエレクトリック・ギターに関しての話である。
本当の意味でのエレクトリック・ギターのルーツは、1932年に発売されたリッケンバッカー A-22というラップ・スティール・ギターから始まった。

 このモデルは本体全てがアルミニウム製で、そのルックスから “フライパン” の愛称で呼ばれたラップスティール・ギター(膝の上に寝かせてスライド奏法で演奏する専用ギター)。
当時はハワイアン・ミュージックが世界的な大ブームで、少しでも大きなサウンドが出せるようにと考案されたのがエレクトリック・ギターだった。
今回紹介するモデルは、そのフライパンの後続機種として1935年に登場したリッケンバッカーのラップスティール・ギター、B-6(写真右)である。

 B-6は1935年から途中第二次世界大戦の影響で1942年に一時生産が中止されたが、それ以外は仕様変更を繰り返しながら戦後1955年まで生産されたロングセラー・モデル。
ホロー構造のボディとネックは木製ではなく、最も古い人工樹脂であるベークライト製で2本のボルトでジョイントされている。
スケールは22-1/2インチとかなり短いが、これがラップスティールの標準となった。
スライド専用であるためフレットは打たれておらず、フレット位置に2本の細い溝がありそこに白いマーカーが付いている。

 セットで使用されるピックアップは、マグネットの形状からホースシューと呼ばれ、当時多くのラップスティールに採用された。
シングルコイルのボビンがU字型マグネットの内側に収められ、弦がマグネットとポールピーズの中間に位置する特殊な構造となっている。

 写真左側のG-6は、B-6の高級モデルとして1949年に登場した。
基本的にはB-6と同じ形状でデザインされているが、こちらはブラス製のプレス加工で作られ、クロムメッキが施されることでミラーのような美しい輝きを放っている。
G-6は1957年頃まで生産された。

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