1956 GRETSCH PX6134 White Penguin

コラム「ヴィンテージ・ギター・オリジナル・シリーズ その 30」で、グレッチのフラッグシップ・アーチトップ・モデル、ホワイト・ファルコン(1955年製)を紹介した。
そのソリッド・バージョンとも言えるモデルが、今回紹介する「GRETSCH PX6134 White Penguin」である。

 このモデルは1955年に登場し1964年まで生産されたが、一般的なライン生産ではなく、特別なカスタム・モデルとして極少数製作され、同社の製品カタログにも掲載されたことがないという正しく幻のモデルだった(一時期同社フライヤーに製品価格のみ掲載されたことがある)。
生産開始から終了までの10年間に何本製作されたのかは明らかになっていないが、一説によると10本程度ではないかとも言われている。

 写真は、最初期にあたる1956年製のホワイト・ペンギン。13-1/2インチ・ワイドのシングル・カッタウェイ・ボディは、プレス加工されたラミネート・メイプル・トップとソリッド・マホガニー・バックを組み合わせたホロウ構造。
右肘があたる部分に、バンジョーを彷彿とさせるメタル・アームレストがセットされている。

 24-1/2インチ・スケール、22フレット仕様のマホガニー・ネック、エボニー・フィンガーボードには絵柄が彫込まれた白蝶貝のハンプトップ・インレイが施され、グレッチらしい華やかさを演出。
Vシェイプの大型ヘッドストックには存在感のあるバーチカルロゴが採用され、ニトロンプラスティック製のトラスロッドカバーやバインディングなども全てゴールドラメが採用され、ショービジネスを意識したアメリカンな演出が大きな魅力となる。

 ホワイト・ベンギンは、ほぼ同時期に発売されたホワイト・ファルコンと共通するデザインや仕様、パーツ類も多く、姉妹モデル的な印象もあるが、大型のファルコンが男性的であるのに対して、小型のペンギンはやや女性的なニュアンスが感じられる。

Special Thanks :「Player」