1967 GIBSON ES-355TD

ギブソン社が1955年に立ち上げたシンライン・シリーズの第2弾として登場した3種類のダブル・カッタウェイ・セミアコースティック・モデルの中から、今回は最上位モデルにあたるES-355TDを紹介しよう。

 このモデルは1958年に発売されたES-335TDを基本として、ゴールド・パーツを使用し装飾類をより豪華にグレードアップしたモデルとして翌59年に登場した。
高級モデルらしく、ギブソン社で最初にスウィングアウェイ・プル・サイドウェイ・ビブラートを搭載したモデルでもある。

 SGシリーズと同様に、1963年からはデラックス・バイブローラに変更され、ビグスビー・ビブラートをオプションとして選択することもできた(左側のモデルはビブラート・テイルピースが純正品からビグスビーB-7-Gに交換されている)。
また、ES-345TDに搭載されたステレオ・バリトーン・サーキットをオプションとして追加することも可能だった。

 写真はオリジナル・モデルではないが、どちらもこのシリーズの生産量がピークだった1967年の製品。
左側はスタンダード・カラーのチェリーレッドではなく、1965年からカスタムカラーとして採用されたスパークリング・バーガンディというメタリック・カラーにフィニッシュされている。

 16インチ・ワイド、1-5/8インチ・ディープのダブル・カッタウェイ・セミアコースティック・ボディを採用。
トップ、バック、リムがすべてメイプルのラミネート材からできており、トップとバックにはプレス加工によるなだらかなアーチ形状が成型されている。
ボディ内部には、ピックアップ、ブリッジ、テイルピースを受けるソリッドメイプルのセンター・ブロックがセットされている。
ブロックのトップとバックには8本から10本程度のスリットが入っている。

 5層のバウンドヘッドには、レスポール・カスタムと共通するスプリットダイアモンド・インレイ、エボニー・フィンガーボードにはパール・ブロック・インレイが施され、このモデルを華やかに演出している。

 写真のモデルはどちらもモノラル仕様だが、ステレオ・バリトーン仕様のES-355TD-SVは、6ポジションのロータリー・スイッチを備え、付属するY字ケーブルを使って2台のアンプに接続する。

 ES-335、ES-345、ES-355の3モデルは、豊かなサウンドとトーンバリエーションを持ち、ロック、ジャズ、ブルース、ポップスなどあらゆる音楽ジャンルで広く愛用され、長年に亘りギブソンを代表する主要モデルとして愛されている。

Special Thanks :「Player」/ GuitarTraders