1960 / 1961 FENDER Stratocaster

フェンダーのカスタムカラーは、モデルの発売時にプロモーションの一環として製作されたのがその始まりとされているが、その後ミュージシャンやディーラーからのリクエストなどに応えて出荷されるようになった。
カスタムカラーに関する記述は1950年代後半の同社カタログから見られるが、1961年に正式に規格化され、徐々に出荷数が増えていった。
60年代のフェンダー製品にはそんなカスタムカラーのモデルも多く、ヴィンテージ・ギター・フリークのコレクターズ・アイテムとなっている。

 今回紹介する「FENDER Stratocaster」は、そのカスタムカラーの規格が定められた1961年前後に製作されたもので、写真左側のブルー・メタリックが60年製、右側のフィエスタレッドが61年製である。

 当初ディーラーには、14色のカラーサンプルと塗料の仕入れ元であるデュポン社の製品コードが記されたカラーチャートが配布された。
結果的にオーダーが少ないカラーは一部廃しされ、新たなカラーを追加掲載したカラーチャートの改訂版が何度か発行された。
当時出荷数が少ない不人気カラーの製品は、現在ではレアモデルとして珍重されるという、皮肉な結果になっている。
1950年代末から80年代初頭までにカスタムカラーとして採用されたフィニッシュは思いのほか多く、トータルで24〜25種類ある。

 カスタムカラーの製品は、スタンダード・カラーのサンバーストと比べて個体差が大きいが、時にはその違いに驚かされることがある。
写真左側のブルー・メタリックはセレクション・チャートにあるブルーとは極端に色が異なり、個体差のバラツキという範囲を悦脱している。
右側のフィエスタレッドは人気のカラーだが、60年代初頭にイギリスで人気を博したシャドウズのハンク・マーヴィンが愛用した影響で、このカラーの殆どがイギリスに向けて出荷されたと言われている。

 ブロンド以外のカスタムカラー製品は、すべてサンバーストと同じアルダー・ボディが採用されている。

 ブラックボビンのシングルコイル・ピックアップはデビュー当初から基本的に変更されていないが、1961年にマグネットの着磁が逆方向に変更された。

 ジャズマスターに続いて1959年からストラトキャスターにもローズウッド・フィンガーボードが採用された。
1962年までの製品は、メイプル・ネックとローズウッド・フィンガーボードが平面で接着された仕様で、フィンガーボードが厚いことから一般的にスラブボードと呼ばれている。
しかし、ローズウッドが厚いことでネックが逆ぞりするというトラブルが発生したため、1962年から接着面がラウンド形状となった薄いラウンド・フィンガーボードに変更された。

 シリアルナンバーは基本的にネック・プレートの上部に刻印されるが、57年と60年に数ヶ月だけプレートの下部に刻印されている。
60年製のブルー・メタリックのストラトはその仕様である。

Special Thanks :「Player」/ Guitar Planet