1964 GIBSON Everly Brothers J-180

全体がジェットブラックにフィニッシュされ、大きなダブル・トートイズシェル・セルロイド・ピックガードが印象的な「GIBSON Everly Brothers J-180」は、1962年に登場した。
50年代後半に「バイ・バイ・ラブ」などが世界的な大ヒットとなったアメリカの兄弟ボーカル・デュオ、エヴェリ・ブラザーズのシグネチャー・モデルとして企画された。

 彼らは以前からギブソン J-200を愛用していたため、最初はJ-200をベースとしたモデルから開発がスタートしたが、当時J-200はセールスが好調だったことから、ユーザーのバッティングが懸念された。
そこで1958年に生産が完了したモデルで、J-200より一回り小型のJ-185をベースとしたモデルとして完成した。

 写真は1964年に生産されたエヴァリィ・ブラザーズ  J-180。
オールブラックにフィニッシュされたボディは、J-185と同じ16-1/4インチ・ワイド(J-200は16-7/8インチ・ワイド)だが、ディープは1/2インチほど薄く4-3/8インチを採用。
オールブラックに塗りつぶされているため分かり難いが、ボディ・トップにシトカ・スプルース、バック&サイドには高級なカーリー・メイプルを使用。
印象的なダブル・ピックガードは、ドン・エヴァリィ自身がデザインしたもので、オールブラック・フィニッシュと共にこのモデルのアイコンとなっている。

 ワンピース・マホガニーのネックは24-3/4インチ・スケール、20フレット仕様。
ローズウッド・フィンガーボードには白蝶貝のスターポジションが施され、ヘッドストックのインレイと共にこのモデルをより個性的なものにしている。

 ローズウッド製のアジャスタブル・ブリッジは、スタンダードなアッパーベリー・ブリッジより一回り大きなサイズで、ブリッジピンを使用しないトップローディング・タイプである。

 アジャスタブル・ブリッジは、サドルの両側にセットされたボルトをドライバーなどで回転させることでサドルが上下し、手軽に弦高調整を行なえる。
しかし、サドルが両サイドから吊るされた構造であるため、低音域がややカットされた独特なトーンキャラクターとなる。
このブリッジは、カントリー・ミュージシャンであり彼らの父親でもあるアイク・エヴァリィがデザインしたと言われている。

 1962年末に発売されたエヴァリ・ブラザーズ  J-180は、翌63年から同社のカタログにも掲載され、68年にモデルチェンジされた後71年まで生産された。
写真のJ-180は1964年に生産されたオリジナル・バージョンで、この年に出荷された製品は僅か69本だった。

Special Thanks :「Player」/ TC Gakki