1959 GIBSON Les Paul Standard

1952年に誕生したギブソン・レスポール・モデルは、ギブソン初のエレクトリック・ソリッドボディ・ギターとして誕生したが、初のシグネチャー・モデルでもあった。
ボディトップがゴールドにフィニッシュされた、いわゆるゴールドトップと呼ばれる仕様で、当初はレス・ポールが拘ったブランコ型のブリッジ・テイルピースを採用していた。

 幾度となくモデル・チェンジを繰り返したレスポール・モデルは、1957年にそれまでのP-90シングルコイル・ピックアップから当時最新のハムバッキング・ピックアップにグレードアップされた。
さらにその翌年の58年夏には、ゴールドトップから鮮やかなチェリーサンバースト・フィニッシュに変更され、モデル名をレスポール・モデルからレスポール・スタンダードに変更した。

 実は1950年代後半のレスポール・モデルは、年を追うごとに販売に陰りが見え、出荷数が減少していた。
そのためハムバッカーの搭載や鮮やかなチェリーレッド・フィニッシュの採用などで巻き返しを図ったが、思ったような結果には至らなかった。

 そして、レスポール・サンバーストは1958年半ばから僅か2年半で生産が完了。
その後は、モデル名はそのままにSGスタイルにフルモデルチェンジされ、50年代のオリジナル・レスポールは生産終了となった。
しかし皮肉なことに、60年代後半になって50年代のサンバースト・モデルを中古で購入して愛用するギタリストが相次いで登場した。
その代表がエリック・クラプトンでありジミー・ペイジだった。
やがてオリジナル・レスポールの再評価が高まり、レスポール・ストーリーの第2幕が始まって行く…。 

 レスポール・モデルにまつわる伝説は数多くあるが、その幾つかはサンバースト・レスポールのトップの杢目とフィニッシュに関することだろう。
ヴィンテージ・レスポールの杢目とカラーは、個体毎に大きく異なり、まったく同じものがない。
チェリーサンバーストの赤の塗料は当初紫外線の影響を受けやすく、経年変化によりフェイドする個体が多い。

 さらにメイプル材やラッカー塗装の焼けなどが重なり、アンバーカラーの個体やレモンドトップのような個体、オレンジ色、あまり赤がフェンドしていないものなど、その外観はまちまちである。

 またメイプルトップの複雑な杢目やプレーンな杢目、ピッキングによる傷や塗装の剥がれなどが重なり合うことで、それぞれ異なる表情を見せる。
見る角度により杢目が大きく変化して見えるのも、レスポール・サンバーストの醍醐味と言える。

 今回紹介する「GIBSON Les Paul Standard」は1959年製。
59年製はジミー・ペイジを始め多くのレスポール・ギタリストが愛用したことでも知られ、特に人気がある。
写真はフィギュアドの杢目が出ていないプレーンなメイプルトップが使用されているが、落ち着いたアンバーカラーのボディは驚くほどコンディションが良く、極めて美しい1本である。

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