1959 GUILD M-65NT  Freshman(1978 M-65 3/4)

ギルド・ギターの歴史に関しては、「ヴィンテージ・ギター・オリジナル・シリーズ / GUILD F-30NT Special」で紹介しているが、ギルド社は長いギター作りの歴史の中で、フラットトップ以外にエレクトリック・ソリッドボディ・モデルやエレクトリック・アーチトップ・モデル、ベース、ウクレレなど、トータルで優に100を越える様々な弦楽器を生産してきた。


今回は、「GUILD M-65 Freshman」という写真右側にある1959年製のエレクトリック・ホロウボディ・モデルを中心に紹介しよう(左側のマホガニー・モデルは1978年製のM-65 3/4という姉妹モデル)。

 M-65フレッシュマンは、M-75アリストクラットという3/4サイズのホロー・ボディ・モデルの廉価バージョンとして1958年に登場した。
ビギナー層をターゲットとしたモデルであることから「フレッシュマン」というモデル名が付けられた。
姉妹モデルのM-75にはなかったFホールが採用されている点が興味深い。M-65は24-3/4インチのレギュラー・スケールを採用しているが、この他にM-65 3/4という22-3/4インチのショート・スケールを採用したモデルも同時期に発売されていた。

 13-1/2インチ・ワイドの小型カッタウェイ・ホロー・ボディを採用。
中央にマホガニーを挟んだ三層のメイプル・ラミネート・トップとマホガニー・バック&サイドを採用し、トップはプレスによってアーチ加工され、トリプルバウンドが施されている。

 フロント・ポジションにシングルコイル・ピックアップをひとつマウントしているが、年代によってピックアップの種類が異なっている。
写真のM-65には、ギブソンP-90によく似たピックアップが採用されている。中央に見えるネジはカバーを固定するためのもので、ピックアップ本体はボディトップ裏に垂直方向に2本セットされているブレイシングに固定されている。

 1ボリューム、1トーンのコントローラーには、ストーブノブと呼ばれる50年代後半に見られる黒いノブが使用されている。
オリジナルのハープ・テイルピースは、曲線を活かした優雅なデザインで、ギルド・ギターをより個性的なものにしている。
内部には、1950年代末に2年間のみ使用された珍しいゴーストラベルが貼られている。

 このモデルは他のホローボディ・モデルよりネックのセット角が浅いため、ベースプレートを持たない特殊なブリッジが採用されている。

 1ピース・マホガニーによる、24-3/4インチのレギュラー・スケールを採用した22フレット仕様のネックには、ローズウッド・フィンガーボードがセットされている。

 写真左側の製品は1978年に製作されたM-65 3/4というモデルで、同じサイズのマホガニー・ボディながら、ネックは22-3/4インチのショート・スケールが採用されている。

 M-65には極少数であるが、2ピックアップ仕様のモデルも生産された。ローリング・ストーンズのキース・リチャーズは、60年代のシングルコイルPUを2つマウントしたモデルを使用し、ラリー・カールトンは70年代初頭のハムバッカーを2つマウントしたモデルを使用している。

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