1963 HOFNER 500/1
1959 HOFNER 500/5

1887年にドイツで設立されたヘフナー社は、ヴァイオリン属のクラシック弦楽器を生産していたが、1925年からギターの生産を開始し、54年頃からエレクトリック・ギターの生産に着手した。
写真右側の500/1は、ヘフナー社が最初に発売したエレクトリック・ベースで、二代目のオーナー、ヴァルター・ヘフナーによってデザイン、開発され、1956年に同社の製品カタログに掲載された。
クラシック弦楽器のデザインを取り入れたその外観から、ヴァイオリン・ベースのニックネームで世界的に親しまれている。

 このモデルは何度かモデルチェンジを繰り返したが、写真の製品はビートルズのポール・マッカートニーが愛用したモデルに極めて近い仕様で構成されている1963年製である。

 最も初期のバージョンは、2つのシングルコイル・ピックアップを搭載していたが、60年代に入るとハムバッキング・ピックアップが搭載されるようになり、何度となくP.U.の仕様も変更された。
写真のベースに搭載されているステイプル・ピックアップは、4バージョン目となる。
コントロールは2ボリューム、スライド・スイッチは各ピックアップのオン / オフとゲインの切り替えである。

 特徴的なヴァイオリン・シェイプのボディは、ラミネート・スプルース・トップとラミネート・メープル・バック&サイドを採用。
当初はフラットバック仕様だったが、61年からアーチバック仕様となった。
センター・ストリップを挟んだ2ピース・メイプル・ネックは、30インチのショート・スケールを採用している。

 このモデルは、元々生産量が少なかった上にポール・マッカートニーが愛用したことで世界中から注目され、一瞬して市場から姿を消した。
ビートルズ・マニアのコレクターズ・アイテムとして有名だが、この年代のオリジナル・モデルは幻の存在で、入手は極めて難しい。

 写真左側の500/5は、ギター・シリーズのプレジデント・モデルのボディを流用した大型アコースティック・デュアル・ピックアップ・ベースで、1957年頃に登場した。
ビートルズの元ベーシスト、スチュアート・サトクリフが愛用したモデルとしても知られている。
写真は1959年製の500/5である。
1960年から64年までは、シングル・ピックアップ仕様の500/3も発売された。
モデルナンバーの「500」は、ベースを意味している。

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