今回はギブソン社の人気モデル「EXPLORER」を紹介しよう。
オリジナルのエクスプローラは、1958年にモダニスティック・ギターズと銘打ってフライング Vと共に発売された製品であるが、今回紹介するのは76年から生産されたリイシュー・モデル。
オリジナル・モデルは、あまりにも斬新なデザインゆえ市場から受け入れられることなく僅か数十本の出荷に留まり短期間で生産終了となった。
様々なデザインのギターが存在する現代であれば、バランスの取れたスマートなボディ・シェイプは素晴らしいと評価されるところだが、50年代においては無理もない話かも知れない。
フライング Vは60年代に少数再生産され、72年にフライング V メダリオンが限定生産されたが、エクスプローラは76年が初めて再生産となった。
70年代のロック・シーンの中で、フライング Vが再評価されるようになり、その流れに後押しされる形でエクスプローラの再生産が企画された。
初期の製品を見ると、シリアルデカールに「LIMITE EDITION」とあることから、限定生産の予定だったが予想以上に好評だったため、追加生産されたものと思われる。
リミテッドエディションの表記は間もなくモデルネームに替わり、80年代初頭まで出荷されたことからも、それが裏付けられる。
オリジナル・モデルと同様にコリーナ材を使った製品も紹介されたようだが、実際に流通したのはマホガニー・モデルである。
フィニッシュはブラウンナチュラルが中心で、ブラックとホワイトも少数出荷された。
写真は1977年に生産されたエクスプローラで、非常に珍しいワインレッドにフィニッシュされている。
マホガニーを採用した1-1/2インチ厚のスラブ・ボディは、直線を組み合わせた左右非対称のデザインであるため一見奇抜に思われるが、実際に抱えてみるとすっきりとした自然な印象を受け、ウエイト・バランスにも優れている。
ボディラインと平行に１弦側に延びた絶妙なデザインのヘッドシェイプもこのモデルの大きな特徴となる。
突き板はファイバー製で、この時期に使われた角張ったパールロゴがセットされている。
釣り鐘型のトラスロッド・カバーは76年頃から採用された２プライ・タイプ。ギブソンの刻印が入った６連のチューナーはクルーソン社製。
ピックアップはビル・ローレンスが開発したもので、一般的にはスーパーハムバッカーと呼ばれている。
これはSG、L-6S、ES-335にも採用されたが、それぞれのモデルに合わせてアレンジされていた。
レスポール等にはシャーラー社製のナッシュビル・チューン O マティック・ブリッジが採用されている時期だが、エクスプローラやフライング Vには、オリジナル・チューン O マティックがセットされている。
Special Thanks : Yoshio Nomura