1971 FENDER Telecaster Rosewood

ビートルズの『レット・イット・ビー』(1970年)のフィルムの中でジョージ・ハリスンが使用したことで一躍注目を浴びたフェンダー・テレキャスター・ローズウッド。
基本的な仕様はレギュラーのテレキャスターと同様だが、ボディとネックがインディアン・ローズウッド材で作られているというユニークなバリエーション・モデルとして1969年に登場した。
ジョージ・ハリスンのファンにはお馴染みのモデルだが、オリジナルの製品は極めて数が少なく、入手が難しいギターの一つとしても知られている。

 このモデルは、かつてリッケンバッカーで製品開発を担当していたロジャー・ロスマイルズが開発を担当した製品で、完成したギターは『レット・イット・ビー』をレコーディング中だったジョージの元へと届けられた。
最初期のモデルはボディがソリッド構造だったが、重量とトーンを考慮してボディ内部の一部をくり抜いたホロウ構造に変更。
写真は1971年に生産された製品で、ホロウ構造になっているバージョン。
当時レギュラー・モデルの1.4倍という高価が付けられたが、それでもローズウッドの原価が高く採算が難しかったようで、1972年まで生産はされたがその数は極めて少ない。
その後何度かスポットでも再生産され、フェンダー・ジャパンやカスタムショップでも同様の製品が生産された人気モデルである。

 写真の製品は、ボディトップ側に柾目のローズウッド、薄いメイプル材を挟んで、バック側に板目のローズウッドが使用されている。
ネックもローズウッドのワンピース材から作られ、ネック裏にはトラスロッドを仕込んだ溝の跡を埋めたスカンクストライプが見える。
ヘッドストックにはモデル名が記されておらず、フェンダー・ブランドのデカールだけになっている。

 このモデルに続いてストラトキャスター・ローズウッドというストラトのローズウッド・バージョンも企画され、ジミ・ヘンドリックスに渡す計画が進められていたが、ギターが完成する直前にジミが他界したため、この企画は実現しなかった。

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