1966 GRETSCH Double Anniversary

グレッチ社の歴史は古く、ドイツ移民のフリードリッヒ・グレッチによって1883年にニューヨークで設立された(マーティン社は1833年、ギブソン社は1902年に設立)。
1895年にフリードリッヒが他界し息子のフレッドが会社を引き継いだが、その頃はすでにドラム、バンジョー、マンドリンなどの生産とヨーロッパから楽器の輸入を行なっていた。

 1920年頃からギターの生産が始まり、33年からグレッチ・ブランドとして出荷するようになった。
当初はテナー・ギター(4弦ギター)が中心で、ラップスティールなどのエレクトリック・モデルを発売するようになったのは39年からである。

 写真は創立75周年を記念して、1958年に登場した「Double Anniversary」モデル。
同時に発売されたアニバーサリー・モデルはシングル・ピックアップ・バージョンで、そのデュアル・ピックアップ・バージョンとしてダブル・アニバーサリーが発売された。

 一般的にアニバーサリー・モデルというと、特定の記念する年に限定して発売されるが、このモデルはなんと1958年から70年代半ばまで20年弱に亘って出荷された(アニバーサリー・モデルは70年代前半に生産が完了)。

 ラミネイト・メイプルを使用した16インチ・ワイドのアーチトップ・ボディを採用し、スタンダード・カラーはサンバーストで、63年から2トーンタンも追加発売された。
今回紹介するギターは、カスタムカラーのメタリック・ブルーにフィニッシュされているが、グレッチでカスタムカラーが採用されているのは極めて稀である。
63年からダブル・アニバーサリーのステレオ・バージョンも発売された。

 ヘッドストックはブラックにフィニッシュされ、Tルーフロゴの下にメタルプレートをセットし、75周年のダイアモンド・ジュビリーを表現したダイアモンド・モチーフとモデルネームが刻まれている。

 デビュー当初は、グレッチ・オリジナルのフィルタートロン・ピックアップ(ハムバッカー)が搭載されたが、61年にフィルタートロンをアレンジしたハイロートロン・ピックアップ(シングルコイル)に変更された。
フィルタートロンはギブソンのハムバッカーなどと比べて出力が低く、クリーンなトーンが特徴であるが、シングルコイルのハイロートロンはより繊細なキャラクターで、低音域から高音域まで澄んだ美しいサウンドを出力し、しかもノイズが少ない。

  

Special Thanks :「Player」/ Thrill On The Strings