1955 GIBSON Les Paul TV

1952年、ギブソン初のエレクトリック・ソリッド・ギターであり初のシグネチャー・モデルでもあるレスポール・モデルが発売された。
翌53年、そのバリエーションとして上位モデルとなるレスポール・カスタムが発売され、54年に廉価モデルとなるレスポール・ジュニアが発売されたことで、レスポール・ファミリーのラインナップは3モデルとなった。

 レスポール・ジュニアは、シンプルなシングル・ピックアップ仕様でボディにはサンバースト・フィニッシュが採用された。
当時はテレビが急速に普及していった時代で、ギタリストが出演した際にギターがテレビ映えするようにと、ジュニアにイエロー・カラーを採用したモデル「レスポールTV」を1954年に発売した。
イエローは当時のモノクロテレビでも認識しやすく、製品が華やかに見える効果を狙った仕様だった。
写真はそのTVモデルであるが、イエローカラーではなくナチュラルを採用したレアなバージョンである。
実は1955年に発売されたTVの中には、僅かに写真と同じナチュラル・フィニッシュを採用した製品が存在している。
今回はそんなレアモデルを紹介しよう。

 マホガニーによる1ピースのスラブ・ボディは、厚さ1-3/4インチ。カッタウェイ内側部分に出っ張りがあり、レギュラーのレスポール・モデルとは形状が異なっている。
ベージュのウッドフィラーによる目止めの後、ナチュラル・フィニッシュが施されている。
ホンジュラス・マホガニーのワンピース・ネックは、当初19フレット、22-3/4インチのショート・スケールだったが、1955年から24-3/4インチのレギュラー・スケールに変更された。

 通称P-90と呼ばれるシングルコイル・ピックアップ(パーツ・ナンバーP480)がリアポジションにマウントされ、ボリュームとトーンコントロールのみのシンプルな仕様が特徴。
P-90はシングルコイル・タイプながら、ファットで力強いサウンドが大きな魅力となる。

 写真の製品にはワニ革の型押しの外装を使用したチャレンジケースがマッチングしている。
これは簡易ケースであり耐久性に乏しく、写真のように使用できる状態で残っている製品は珍しい。

Special Thanks :「Player」