1954 GIBSON EB
1959 GIBSON EB-2

「EB」(写真左)は、1953年にギブソン初のソリッドボディ・エレクトリック・ベースとして登場した。
1951年にフェンダーから発売されたプレシジョン・ベースは、世界初のエレクトリック・ベースとして市場から高い評価を受け、50年代はアコースティックのアップライト・ベースからプレシジョンに持ち替えるプレイヤーが急増していた。
ギブソンとしては何とかその市場に参戦すべく、独自に開発したエレクトリック・ベースがEBだった(EBはエレクトリック・ベースの意味)。

 プレシジョン・ベースは、ギタリストにも演奏できるようにスパニッシュ・スタイル(ギターを抱きかかえて演奏する一般的なスタイル)で演奏するモダンなデザインだったが、EBはそれまでアップライト・ベースを使用していたベーシストを意識したトラディショナルなザインに拘り、独自な路線を打ち出した。

 ヴァイオリン・シェイプをそのまま活かしたマホガニーのソリッド・ボディは、アーチトップの形状に加工され、ダークブラウンに生地着色されることでクラシカルなイメージを大切にしたデザインとなった。
スケールは短い30-1/2インチ、22フレット仕様。
ネックジョイント近くにひとつだけ搭載されたピックアップはかなり大型だがシングルコイル仕様で、ダークブラウンのピックアップカバーで覆われている。

 ヘッドストックはギブソンの伝統的なデザインだが、チューナーはクルーソンのバンジョー・タイプが採用されている点も特徴的である。

 さらにユニークなのは、写真中央に見えるアジャスタブル・エンドピンという長いロッドを装着することでアップライト・ポジションでも演奏でき、アコースティック・ベース・プレイヤーにアピールしやすい製品として開発した。

 フェンダーとはまったく対照的なコンセプトで開発されたギブソンならではの製品だったが、市場の反応はかなり厳しくフェンダー・プレシジョン・ベースの対抗馬としてはほど遠い結果となった

 EBは1958年に生産が完了したが、それと入れ替わるように「EB-2」(写真右)が登場した。
EB-2は、当時発売されて話題となっていたES-335などダブルカッタウェイ・シンライン・ボディ・ギターと同じデザインのボディを採用したホロー・ボディ・ベースである。
EBとEB-2はボディ形状や構造は全く異なるが、当初は基本的なアッセンブリはEBの仕様をそのままEB-2に引き継いでおり、ギブソンらしいスタイルで完成している。

 EB-2は、翌59年にWコイル・ピックアップとバリトーン・スイッチと呼ばれるローカット・スイッチのオン/オフが付いて1961年まで生産された。

 写真のEB(1954年製)とEB-2(1959年製)は、どちらも大型のシングルコイル・ピックアップが搭載されたオリジナル・モデルで、専用のフォルトケースが付属している。

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