1979 GIBSON Kalamazoo Award

1970年代後期のギブソンは、フルディプス・エレクトリック・アーチトップのラインナップがとても充実していた。
カスタムオーダーによって製作されるサイテーションを筆頭に、レギュラーラインにはスーパー400CES、L-5CES、JS、JSD(ジョニー・スミスの2ピックアップ・バージョン)、バードランドなどの高級モデルから、ES-175Dに至まで充実したラインナップが用意されていた。
1978年になると、さらに新たなレギュラー・ラインの最上位モデル「Kalamazoo Award」と、それに続く高級モデル、スーパー V CESが発売され、益々アーチトップ・モデルの生産が充実していった。
今回は、そのトップ・オブ・ザ・ラインである1979年製カラマズー・アワードを紹介しよう。

 このモデルは、ボディ形状がジョニー・スミス、ネック構造がスーパー400、トーンバーやエアチェンバーといったアコースティック・デザインがL-5から受け継がれたハイブリッドな仕様で構成されている。  

 トラディショナルなヴェネチアン・ラウンド・カッタウェイを採用した17インチ・ワイドのアーチトップ・ボディは、正柾目にカットされた最上級グレードのスプルースと美しいフィギュアド・メイプルを使用。厚い板材からベテラン・ルシアーの手加工によって、トップとバックのアーチ形状が丁寧に削り出されている。
フィニッシュはアンティーク・サンバーストと呼ばれる風格のあるダークカラーだが、通常のニトロセルロース・ラッカーではなくヴァーニッシュ(ワニス)が使用されているのも特徴のひとつ。

 ヘッドストックを飾るブランドロゴは、戦前に使用されていた筆記体風のスクリプトロゴ・インレイ。
トラスロッドカバーは一般的なプラスティック製ではなく、3層の薄いメイプル材を着色して張り合わせて作られている。
ピックガードも美しい杢目が透けて見えるメイプル製で、ヘッドストック、ピックガード、テイルピースにはアバロンによる鳩などの豪華なインレイが施されている。

 フィンガーボードエンドに取り付けられたフローティング・ピックアップはジョニー・スミスと似たミニハムバッカーであるが、こちらはアジャスタブル・ポールピース・タイプではなく、BJBジャズ・ピックアップと呼ばれるるカバード・タイプが使用されている。
ピックガード上にレイアウトされたコントロールは、最初期の製品は1ボリュームだったが、写真の製品は1ボリューム、1トーンとなっている。

 カラマズー・アワードは1978年から、カラマズー工場が閉鎖された1984年まで生産されたが、写真の1979年には11本の製品が出荷された。

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