1956 / 1958 FENDER Esquire

「FENDER Esquir」というテレキャスターの姉妹モデルご存知だろうか? エスクァイアーは、ブロードキャスター(テレキャスター)と同じく1950年に、世界初の量産型エレクトリック・ソリッドボディ・ギターとして発売された歴史的なモデル。
多少ギターに精通している人でも、「エスクァイアー」というと、「あ〜、テレキャスターの廉価モデルね」と認識している人が多い。
実は、ブロードキャスターは元々シングル・ピックアップ仕様のモデル、エスクァイアーとして企画、開発されていたことはあまり知られていない。

 エスクァイアーの発売にあたり、急遽デュアル・ピックアップ・バージョンをラインナップすることになり、シングル P.U. バージョンを「エスクァイアー」、デュアル P.U. バージョンを「ブロードキャスター」として発売した。
つまりブロードキャスターは、エスクァイアーのデュアル P.U. バージョンなのである。
どちらのモデルも1950年の発売だが、ブロードキャスターが発売されたのは、エスクァイアーの発売から数ヶ月後のことだった。

 写真は1956年(左)と1958年(右)に生産されたエスクァイアー。
シングル P.U.というハンデを補うために、プリセット回路が搭載されている。
しかし、外観上はフロント P.U.の有無以外はテレキャスターと同じパーツとデザインを採用しながらも、それを実現しているところにレオ・フェンダーの豊かな才能が感じられる。

 写真の製品は、初期のオリジナル・バタースコッチブロンド・フィニッシュではなく、ホワイトブロンド・フィニッシュを採用した1ピース・アッシュ・ボディで製作されている。
右側の58年製はブリッジ部分がトップローディング・タイプであるため、ボディに裏通し用の貫通穴が見られない。

 シングルコイル P.U.は1955年から使用されたタイプで、それまでのフラット・ポールピースから上面に凹凸のあるスタガード・ポールピースへと変更されている。
テレキャスターではP.U.セレクターとして使用されている3ウェイ・レバースイッチを、エスクァイアーはトーン・セレクターとして使用している。        

 かつてエスクァイアーの中古品はテレキャスターと比べて比較的安く入手でき、またテレキャスターと共通するボディを使用していたためピックガードの下にはフロント P.U. キャビティが加工されている。
エスクァイアーは後からフロント P.U.が追加され、テレキャスターと同じ仕様に改造されている個体も少なくない。

Special Thanks :「Player」