1962 FENDER Custom Telecaster

1950年に誕生したフェンダー・テレキャスターには幾つかのバリエーション・モデルがあるが、1959年に最初のバリエーションとして誕生したのが「Custom Telecaster」だった。
今回は、1962年に生産された希少なカスタム・テレキャスターを紹介しょう。

 テレキャスターのデラックス・バージョンとして登場したカスタム・テレキャスターは、フェンダーとしては珍しくボディのトップとバックに白いバインディングを施している。
当時のストラトキャスターと共通するアルダー2ピース・ボディが採用され、同じ時期のスタンダードのテレキャスターよりややウォームなサウンドに仕上がっている。

 レギュラーのテレキャスターはホワイトブロンド・フィニッシュ / アッシュ・ボディであるが、カスタム・テレキャスターには、このモデルが登場した59年からストラトに採用された3トーン・サンバースト / アルダー・ボディが採用された。
ストラトも同様であるが1962年のサンバーストは最も赤が鮮やかで、特に中央のイエローとのコントラストが美しい。
またボディ・サイドはシースルーのダークブラウンではなく、赤茶色の塗料でほぼ塗りつぶされている点も特徴的である。

 写真のカスタム・テレキャスターは、弦が裏通しでセットされている。
しかし、テレキャスターは1958後期〜59年に掛けて裏通しからトップローディング・ブリッジに変更された。
そして、60年になるとトップローディング・ブリッジに後から6個の穴をあけてまた裏通しに戻している。

 ブラジリアン・ローズウッドのスラブボードを採用したネックは、25-1/2インチ・スケールの21フレット仕様。
初期のスラブボード・ネックはローポジションが細いことが特徴のひとつだったが、写真の62年頃になるとファットなネックグリップが採用されるようになった。

 ヘッドストックにはスパゲティ・ロゴとモデル名のデカールが貼られているが、最初期のカスタム・テレキャスターはこのデカールが間に合わず、テレキャスターのデカールで代用した。

 レギュラーのテレキャスターは1プライ8点止めのピックガードが使用されているが、カスタム・テレキャスターには3プライ8点止めが使用されている(初期のモデルは3プライ5点止めを使用)。

 金色に黒で縁取りされたスパゲティ・ロゴは1952年までのエスクァイアに使用されていたものだが、このカスタム・テレキャスターで復活した。
この時期のカスタム・テレキターは極めて数が少なく、市場ではなかなか見ることがない。
写真の個体は大きなキズや塗装の剥がれなどはなく、とても良いコンディションを保っており、オリジナルのブラウン・トーレックス・ケースに収納されている希少な1本である。

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